建設業許可の申請では、「経営業務の管理責任者(常勤役員等)」や「営業所技術者(専任技術者)」の要件を満たすために、過去に建設業を実際に営んでいたこと・実務経験を積んだことを書類で裏付けなければなりません。
「会社に在籍していた」ことを示すだけでは足りず、「その期間、実際に建設業の経営(または工事の実務)をしていた」ことまで証明する必要があります。
なぜ証明が必要なのか
経営業務の管理責任者(常勤役員等)や営業所技術者として認められるには、単に会社に在籍していた事実だけでなく、その在籍期間中に実際に建設業の経営や工事の実務に携わっていたことが求められます。在籍を示す資料(登記事項証明書や社会保険の記録など)とはあくまでも別に、「営業実態」を示す資料が必要になります。
期間の証明
建設業許可を保有していた場合
証明しようとする期間中に本人(または証明者である会社)が建設業許可を保有していた場合は、建設業許可通知書、または受付印の押印された建設業許可申請書・変更届出書・廃業届等の写し等で証明します。
通知書等はすべてを揃える必要はなく、過去の許可期間を合理的に推定できる範囲でよいとされています。例えば平成7年〜平成12年と平成22年〜平成27年の通知書があり、許可番号が同一であれば、その間もずっと許可を継続していたものと推定されます。
建設業許可を保有していなかった場合
軽微な工事のみを請け負っていた期間などを実務経験・経営経験としてカウントしたい場合は、より具体的な資料が必要になります。
2期間通年分の工事請負契約書・注文書または請求書等の写し
- 証明しようとする期間の全体を通して、原則1か月に1件のペースで契約書・注文書・請求書等を用意します。
- 請求書や、発注者の押印のない注文書だけでは足りず、入金が確認できる資料(原則は通帳の写し)による補足が必要です。
- 発注者の押印(法人の場合は代表者印に限る)がある注文書等であれば、原則として入金確認資料は不要になります。
証明する書類
請求書で証明する場合
- 請求書1件につき、発行月1か月分の経験として認められます。
- 請求書の写しと入金確認資料を1か月ずつ1セットにして、古い年月順に束ねます。
- 複数件まとめて入金されている場合は、合算した請求書の写しをすべて挟むか、内訳表を作成して添付します。
注文書で証明する場合
- 注文書の写しを古い年月順に束ねます。
- 1件の注文書の工期が3か月を超える場合は、3か月ごとに区切り、各区切りの最終月の請求書を提出します(例:工期1〜6月なら3月分・6月分の請求書)。この場合、入金確認資料の提出は不要です。
- 発行日(発注日)と工期が矛盾している注文書は、原則として証明資料として使えません。
期間の短縮
請求書や注文書などは、原則1か月1件分必要ですが、経営経験・実務経験期間確認表を提出すれば、請求書等の間隔が四半期(3か月)未満であれば、その間の請求書等の写しの提出を省略できます。
- 証明しようとする期間の最初と最後を含む請求書等は必ず必要です(例:平成27年1月〜令和6年12月の10年間を証明する場合、平成27年1月以前分と令和6年12月以降分の資料が必要)。
- 請求書等の間隔が3か月未満であれば、その間の分の提出は省略可能です。
- 間隔が3か月以上空いてしまうと、その間は経験期間として認められません。
電気工事・解体工事など、追加資料が必要な業種
営業所技術者として実務経験を証明する場合、業種によっては上記の資料に加えて、次の資料が経験期間の全期間分必要です。
| 建設工事の種類 | 提出資料(いずれか) |
|---|---|
| 電気工事 | 登録電気工事業者登録証の写し/電気工事業者通知受理通知書の写し/電気工事業者届出受理通知書の写し/電気工事業開始通知受理証明書の写し |
| 解体工事 | 解体工事業者の登録簿への登録通知書の写し/建設業許可通知書の写し(土木工事業・建築工事業・とび土工工事業に係るもの) |
また、電気工事または消防施設工事については、無資格者の実務経験は原則として認められません。機械器具設置工事については、内訳書・図面・写真など工事内容が分かる資料に加え、工程表等で現場での機械の組立・設置工事期間を確認できる資料が必要です。
これらの営業実態を示す資料は、あくまで「工事の実績があったこと」を示すものです。あわせて、その期間、本人が証明者(会社)に常勤していたことを示す資料(健康保険証の写しなど)を期間通年分用意することで、はじめて「その期間、実務経験・経営経験を積んでいた」と推定されます。
まとめ
- 許可を持っていた期間は、許可通知書・申請書・変更届等の写しで証明できる(東京都知事許可なら備考欄記入で省略可)。
- 無許可だった期間は、工事請負契約書・注文書・請求書等を原則1か月1件、入金確認資料とあわせて用意する。
- 「経営経験・実務経験期間確認表」を使えば、3か月未満の間隔の資料提出を省略できる。
- 電気工事・解体工事などは追加の業種別資料が必要。
- 営業実態の証明とあわせて、常勤性の証明も期間通年分必要。



