近年の工事費高騰や人手不足を背景に監理技術者に関する制度が大きく変わっています。

令和6年12月16日に国土交通省から建設業者団体に対して重要な事務連絡が発出されて、監理技術者等の専任義務の合理化と建設業法における金額要件の見直しがありました。

監理技術者等の専任義務の合理化

専任から兼務への変更について

監理技術者等はこれまで工事現場に専任しなければならないこととされてきました。
しかし、情報通信技術の利用により工事現場の状況の確認ができる等の場合には、政令で定める金額・現場数の範囲で兼任が可能となりました。

そこで、施行規則で、兼任が認められる要件を以下のとおり定めることとしました。

  • 工事現場間の距離が、一日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
  • 各建設工事の下請次数が3次まで
  • 監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者(土木一式工事又は建築一式
  • 工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)の配置
  • 工事現場の施工体制を確認できる情報通信技術の措置
  • 人員の配置を示す計画書の作成、現場据置及び保存(電磁的記録媒体による作成等含む)
  • 工事現場以外の場所から現場状況を確認するための情報通信機器の設置

金額要件の見直し

令和6年建設業法施行令の改正により、以下の金額要件が見直されました。

主な変更内容

  • 監理技術者の配置が必要となる下請代金額の下限
  • 専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限

適用範囲: 請負契約の時点に関わらず、同日以降はすべての工事について改正後の金額要件が適用されます。

技術者の途中交代や専任要件の変更について

(1)監理技術者から主任技術者への交代、専任から非専任への変更

改正令施行後、工期途中において以下の変更を行う場合は、請負契約の当事者間での協議が必要です。

  • 監理技術者または主任技術者の途中交代
  • 専任から非専任への変更

これらは監理技術者制度運用マニュアルに基づき、注文者との合意があれば認められますが、工事の継続性や品質確保に支障がないよう対応することが求められます。

(2)特定専門工事への該当

工期途中で請け負った建設工事が特定専門工事に該当することとなった場合、元請負人及び下請負人の合意により、下請負人の主任技術者の配置を不要とすることができます。この場合も、工事の継続性や品質確保に配慮が必要です。

施工体制台帳及び施工体系図の取扱い

改正令施行後の金額要件において、施工体制台帳の作成・備置き義務及び施工体系図の作成・掲示義務の適用外となる工事については、令和7年2月1日以降これらの作成・備置き・掲示が不要となります。

注意点

  • 令和7年1月31日までに作成した施工体制台帳及び施工体系図は、建設業法第40条の3に基づき、引き続き営業所ごとに保存する必要があります
  • 公共工事については従来どおり、下請代金額に関わらず、施工体制台帳の作成・備置き及び施工体系図の作成・掲示が必要です

まとめ

令和6年12月の国土交通省による監理技術者制度の改正は、建設業界が直面する工事費高騰と深刻な人手不足に対応するための重要な制度変更です。

今回の改正の最大のポイントは、ICTを活用した監理技術者等の兼任が可能になったことです。工事現場間の距離や下請次数などの条件を満たせば、これまで専任が求められていた監理技術者等が複数現場を担当できるようになり、限られた技術者をより効率的に配置できるようになりました。

また、金額要件の見直しにより、監理技術者の配置基準や専任要件が合理化され、工期途中での技術者交代や専任・非専任の変更も契約当事者間の協議により可能となりました。

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