建設キャリアアップシステム(CCUS)を適切に活用することで、経営事項審査(経審)の加点を狙うことが出来ます。

CCUSによる経審加点制度とは

経審の評価項目は4項目(X~W)から成り立っており、それぞれに客観的な点数がつけられます。 CCUSは「社会性等の確認(W)」において評価対象となります。

評価項目
経営規模の認定(X)
経営状況の分析(Y)
技術力の評価(Z)
社会性等の確認(W)

令和5年8月14日以降の経審基準日(決算日)からCCUSの使用実績が経審のW点に反映されるようになりました。

国土交通省資料 参照

加点を受けるための条件

1. 対象となる工事

  • 決算日から過去1年間に行われた工事
  • 元請けとして受注した工事(下請け工事のみの会社は加点対象外)
  • 経審を受ける業種の工事

例えば、土木一式工事の経審を受けるなら、土木一式工事のCCUS情報が必要です。経審を受けない業種については対象外です。

2. 就業記録の実施方法

重要なポイントは、単なる登録ではなく「実際に使用している」ことが求められる点です。

具体的な手順は以下の通りです。

CCUS運用フロー 1 工事契約後、CCUSに工事現場情報を入力 現場名・住所・期間等を登録 2 カードリーダー・建レコを現場に設置 技能者カードの読取機器 3 技能者が入場時にカードをスキャン 就業履歴を自動記録

3. 必要書類の提出

都道府県庁や地方整備局に以下の書類を提出する必要があります。

「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置を実施した旨の誓約書及び情報共有に関する同意書」

この同意書には、工事件数や未実施工事の件数を記載する欄があります。
書類提出後、行政機関がCCUSに照会して、実際にすべての工事が登録されているか確認を行います。

実務上の注意点

加点を受けるには「全ての工事」でCCUSを実施する必要があります。一つでも漏れがあれば加点されない仕組みです。

まとめ

CCUSによる経審加点は魅力的な制度ですが、実務上のハードルは決して低くありません。

メリット

  • 最大15点の加点
  • 技能者のキャリア管理の整備
  • 業界全体の透明性向上に貢献

デメリット

  • 運用の手間とコスト
  • 「全工事」という厳しい要件
  • 効果が表れるまで時間がかかる

導入を検討する際は、自社の工事規模、管理体制、経審における他の加点項目とのバランスを総合的に判断することが重要です。すぐに効果が出るものではないため、長期的な視点で計画的に取り組むことをおすすめします。

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