国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別に新たに試算した年収の目安を明らかにしました。

公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合の年収額を「目標値」とし、これ以上の実際の支払いを推奨する。最低限支払うべき下限の水準として「標準値」も同時に示し、これを下回る支払い実態がある建設業者には労務費ダンピングの恐れがないか重点調査する方針です。

注目すべき3つのポイント

  1. 賃金水準の二本立て化
    「標準値(支払われるべき最低水準)」「目標値(適正賃金として望ましい水準)」に刷新
  2. 地域実態に即した制度設計
    全国一律ではなく「9ブロック別」の年収モデルに変更
  3. 技能レベルの客観的評価
    レベル1~4の査定方法や実態調査データを最新化し、よりリアルな年収試算が可能に

これにより、中小建設業者が抱えがちな「どのくらいの賃金が適正なんだ?」という悩みに、国が“はっきりとした指標”を提示した形です。


標準値・目標値とは?現場にどう影響するの?

今回の改定で、目標値標準値の2つの水準の値を設定し、適正な賃金として目標値以上の支払いを推奨しています。

標準値(下位15%程度の賃金水準)

  • 最低限支払われるべき水準
  • この値を下回ると「労務費ダンピング」の疑いとして重点調査の対象に
  • 建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)との関連性も

目標値(平均以上の賃金水準)

  • 国が"適正賃金"として推奨する水準
  • 企業への支払い奨励の明確な基準
  • 経営事項審査(経審)での加点要素となる可能性も


地域ごとに違う「年収水準」──9ブロック別の設定に

従来の"全国一律"では、地域差が大きい建設業の実態に合っていませんでした。今回の見直しでは、以下の9ブロックで年収モデルを個別算出しています。

9つのブロック

北海道 | 東北 | 関東 | 北陸 | 中部 | 近畿 | 中国 | 四国 | 九州・沖縄

それぞれの地域の労務単価や市場水準を反映し、より"リアルな年収ベース"になります。


中小企業の経営者・現場監督にとってメリットは?

見積り時の労務費根拠に使える

「適正賃金はこのレベルなら◯◯円です」と、建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に基づいた説明が可能に

職人の離職防止につながる

処遇改善の"法的根拠ある資料"として活用可能

若手育成の目標設定に

レベル2までに必要な経験年数、レベル3の目安などが明確化

労務費ダンピングのリスク管理

標準値を下回れば調査対象。建設業法違反リスクの回避に

経営事項審査(経審)への影響

今後、CCUS活用や適正賃金支払いが加点要素となる可能性


「処遇改善通報システム」も新設予定

今後は、技能者が「適正に支払われていない」と感じた場合、通報できるシステムが構築予定となっています。



まとめ

今回のCCUSレベル別年収改定は、建設業界全体の"適正賃金への移行"を後押しする大きな転換点です。

経営者への影響
見積り・給与・教育・採用すべての精度を上げられる制度改善であり、建設業法の遵守体制強化にもつながります。

技能者への影響
職能が正当に評価される道筋ができた非常に大きな前進です。

これからの建設業は"賃金の見える化"が競争力を左右する時代へ。法令遵守と企業価値向上の両面から、ぜひこの制度をプラスに活かしましょう。

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