更新の必要性

建設業許可は取得から5年間の有効期限があります。継続して建設業を営むためには、期限切れ前に必ず更新手続きを行う必要があります。

更新申請の受付期間

東京都では更新申請の受付期間を以下のように設定しています:

  • 申請受付開始: 許可期限の2か月前
  • 申請受付終了: 許可期限の30日前

例: 許可日が5月11日の場合

  • 許可期限:5月10日
  • 受付期間:3月10日〜4月10日

建設業許可更新ができない主要な原因

1. 事業年度終了報告書(決算変更届)の未提出

建設業許可業者は、毎年決算後4か月以内に事業年度終了報告書を提出する義務があります。これは「1年間の建設事業の実績を報告する」重要な書類です。

  • 提出期限を忘れてしまう
  • 5年間まったく提出していない
  • 一部の年度のみ提出漏れがある

対策

未提出分がある場合は、すべて遡って提出する必要があります。5年分の未提出があれば、5年分すべてを処理してから更新手続きに進むことになります。

2. 各種変更届の未提出

建設業許可では、以下の変更があった場合に変更届の提出が必要です。

役員関係の変更

  • 取締役の就任・辞任
  • 代表取締役の変更
  • 監査役の変更

技術者等の変更

  • 経営業務の管理責任者の変更
  • 営業所技術者の変更・追加
  • 監理技術者の変更

会社情報の変更

  • 商号(会社名)の変更
  • 本店所在地の移転
  • 営業所の新設・廃止
  • 資本金額の変更

3. 要件欠如

経営業務の管理責任者の欠員

経営業務の管理責任者が退任・死亡等により欠員となり、後任の要件を満たす人材がいない期間が発生した場合、その時点で建設業許可は失効します。

要件欠如となる例

  • 唯一の経営業務管理責任者が突然辞任
  • 病気で長期間職務遂行不可能
  • 他社への転職で資格要件を満たさなくなる

専任技術者の欠員

専任技術者についても同様で、要件を満たす技術者が不在となった場合は許可失効の原因となります。

リスク要因:

  • 定年退職による欠員
  • 転職による人材流出
  • 技術者の資格失効

更新手続きの詳細プロセス

基本的な更新書類

  1. 建設業許可更新申請書
  2. 工事経歴書
  3. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  4. 使用人数
  5. 誓約書
  6. 経営業務の管理責任者証明書
  7. 専任技術者証明書
  8. 定款
  9. 株主調書

財務関係書類

  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. 完成工事原価報告書
  4. 株主資本等変動計算書
  5. 注記表
  6. 附属明細書

申請手数料

  • 都道府県知事許可: 50,000円
  • 国土交通大臣許可: 50,000円

よくある質問と対策

Q1: 更新を忘れて期限が切れてしまった場合はどうなりますか?

A: 建設業許可が失効します。再度新規申請が必要となり、許可取得まで工事の受注に制限が生じます。

Q2: 決算変更届を数年間提出していませんが、まとめて提出できますか?

A: はい、可能です。ただし、すべての年度分を遡って作成・提出する必要があります。

Q3: 技術者が退職予定ですが、いつまでに後任を確保すればよいですか?

A: 欠員期間を作らないため、退職日までに後任者の変更届を提出する必要があります。

まとめ:確実な更新のための5つのポイント

  1. 年間スケジュール管理の徹底
    • 決算変更届の提出時期を年間予定に組み込む
    • 更新時期の1年前からの準備スケジュール作成
  2. 変更届の迅速な対応
    • 変更発生と同時に必要書類の準備開始
    • 提出期限の厳守
  3. 人材管理の戦略化
    • 要件充足者の複数確保
    • 後継者育成プランの実行
  4. 専門家との連携
    • 行政書士等との継続的な相談関係構築
    • 複雑な手続きは早期に専門家に相談
  5. 記録管理の徹底
    • 許可証や各種届出書類の適切な保管
    • 提出履歴の記録管理

建設業許可の更新は、単なる手続きではなく、事業継続のための重要な経営課題です。計画的な準備と適切な管理により、確実に更新を成功させ、安定した事業運営を実現しましょう。

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