建設業許可では、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))営業所技術者等が、主たる営業所に「常勤」していることが求められます。
役員が遠方に住んでいたり、他の事業に関与していたりする場合に問題となります。

「常勤」の定義と常勤性を否定されるケース

「常勤」とは、原則として、主たる営業所において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることを指します。

常勤性が認められない、または否定される具体的なケースは以下の通りです。

居所が遠距離にある場合(通勤不可能な者)

問題となる条件: 住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識的に通勤不可能なもの(通勤時間がおおむね片道2時間以上)と見なされる場合、常勤性が認められません。

求められる対応: このような場合、申請者は常識的に通勤可能であることを証明するために、通勤確認のできる資料(通勤定期券やETC記録等)の提出を求められることがあります。

テレワークの取り扱い: テレワークを活用する場合でも、営業所の要件は従来通り変更ありません。
常勤性が求められる常勤役員等(経管)がテレワークを行う際は、社会通念上、営業所に通勤可能な距離であることが求められます。必要に応じて、テレワーク先の環境や連絡体制、勤怠管理方法などが確認されます。

他の事業を兼務している場合

常勤役員等(経管)は、その職務に専念することが求められるため、以下の兼務は原則として認められません。

他社に常勤している者: 他社に常勤している者。

他に個人営業を行っている者: 他に個人営業を行っている者。

建設業の他社の技術者: 建設業の他社の技術者。

他社の役員等との兼務: 他社の常勤役員・代表取締役・清算人等と兼ねることはできません。

他の法令で専任を要する者: 他の法令により専任性を要するとされる管理建築士、宅地建物取引士等についても同様に、原則として兼務はできません(ただし、同一法人で同一の営業所である場合を除きます)。

申請事業者以外からの報酬: 申請事業者以外からの報酬がある場合も、原則として常勤と見なされません。

被扶養者: 健康保険の被扶養者となっている者は、常勤性が推定できないため、常勤役員等(経管)になることはできません。

兼務制限の特例的な克服方法(常勤性が認められる例外)

他社の代表取締役等を兼ねている場合であっても、以下の例外的な条件を満たすことで常勤性が認められることがあります。

1. 他社が休眠していること:

    ◦ 他社が休眠していることに関する証明書を提出する。

2. 他社に常勤の取締役がいること:

    ◦ その会社において、事務一般を掌理する常勤の取締役がいる旨の証明書、および登記事項証明書を併せて提出する。

3. 常勤性を証明するために必要な確認資料

常勤役員等(経管)が申請日現在で常勤であることを証明するため、以下の資料が必要です。

(1) 個人の場合(他の事業者の社会保険へ加入していないことの証明)

身元確認資料: 氏名、生年月日がわかる有効期限内の写しとして、以下のいずれか

◦ 健康保険証
◦ マイナンバーカード
◦ 資格確認書

直近決算の個人所得税確定申告書の写し: 第一表、第二表、受信通知(メール詳細)

(2) 法人の場合(申請法人における社会保険への加入の証明)

身元確認資料: 上記個人の場合と同様の写し(健康保険証等)。

申請者の所属を証明する資料: 以下のいずれか

 ◦ 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写し
 ◦ 資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し
 ◦ 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し
 ◦ 直近決算の法人用確定申告書の写し(表紙(別紙一)、役員報酬明細、受信通知(メール詳細))

 ▪ 申請法人において役員として一定額の役員報酬を得ていることを証する必要があります。
   ◦ 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票の写し ほか。

常勤役員等(経管)の常勤性は、建設業許可の最も重要な要件の一つであり、申請日現在だけでなく、過去の経営経験を証明する期間についても常勤性の確認が求められる場合があります。

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