建設業許可を取得している企業が支店や営業所を設置する際に必ず押さえておかなければならないのが「令3条使用人」という制度です。

この記事では、建設業許可における令3条使用人について、解説していきます。


令3条使用人とは何か

令3条使用人とは、正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」のことを指します。

具体的には、建設業者が本社以外に設置する支店や営業所(「従たる営業所」と呼ばれます)において、建設工事の請負契約を締結する権限を持つ責任者のことです。

  • 建設工事の請負契約の締結
  • 契約の見積もり作成
  • 入札への参加
  • 契約の履行管理

つまり、支店や営業所において、本社の代表者に代わって契約業務を行う「現場の責任者」というイメージです。

実際に令3条使用人となるのは、以下のような役職の方です。

令3条使用人となる役職 法人の場合 支社長 支店長 営業所長 出張所長 個人事業の場合 支配人

令3条使用人になるための3つの要件

令3条使用人になるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1: 支店や営業所に常勤していること

常勤とは、休日やその他の勤務を要しない日を除いて、所定の時間中職務に従事することを指します。簡単に言えば、フルタイムでその営業所に勤務している状態です。

令3条使用人は、1つの支店・営業所にのみ常勤している必要があります。複数の営業所を掛け持ちすることはできません。

例えば、月曜・火曜はA支店、水曜・木曜はB支店というような勤務形態では、どちらの支店でも常勤しているとは認められません。

要件2: 一定の権限が与えられていること

令3条使用人には、代表者から以下のような権限が委任されている必要があります:

  1. 契約締結権限
  2. 見積もり作成権限
  3. 入札参加権限
  4. 契約履行管理権限

    従たる営業所では、実際に建設工事に関する請負契約の見積り・締結・履行や入札参加など、実態的な業務を行います。そのため、これらの重要な業務を実行できる権限を持った責任者の配置が必須になります。

    要件3: 欠格要件に該当しないこと

    建設業法では、建設業許可を受けることができない「欠格要件」が定められています。令3条使用人も、この欠格要件に該当してはいけません。

    破産手続き中の方、刑事罰を受けた方、暴力団関係者等は、令3条使用人になることはできません。



    注意点とよくある質問

    Q1: 令3条使用人は何人まで配置できますか?

    A: 1つの営業所に複数の令3条使用人を配置することは可能です。ただし、それぞれが常勤要件を満たしている必要があります。

    Q2: 令3条使用人が退任した場合はどうなりますか?

    A: 令3条使用人が退任した場合、速やかに後任者を配置し、変更届出を提出する必要があります。長期間空席の状態が続くと、許可要件を満たさないことになります。

    Q3: 本社の役員が令3条使用人を兼務できますか?

    A: 本社に常勤している役員は、支店・営業所の令3条使用人を兼務することはできません。常勤要件を満たせないためです。



    まとめ

    令3条使用人の制度は、建設業の適正な運営を確保するための重要な仕組みです。要件を正しく理解し、適切な人材を配置することで、スムーズな支店・営業所の運営が可能になります。

    建設業の事業拡大において、令3条使用人の適切な配置と管理は、コンプライアンスの観点から非常に重要です。

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