経営業務の管理責任者の要件を満たさない場合の対応について、仮の事例を基にこの記事で説明します。


事例

  • 業種:内装仕上工事業
  • 所在地:東京都
  • 会社設立:令和5年
  • 従業員数:3名
  • 相談内容:新しく法人を設立し、建設業許可を申請したいが、
     「経営業務の管理責任者がいない」と行政庁から指摘を受けた。

問題点の整理

建設業許可では、以下のいずれかを満たす人が経営業務の管理責任者(経管)として認められます。

  1. 許可業種に関して、5年以上の経営業務の管理経験を有する者
  2. 経営業務の管理経験者に準ずる経験を有する者(常勤の役員など)


代表者は、「経営」経験が無いと認識しており、申請窓口で不備扱いとなっていた。


解決までの流れ

ステップ1:過去の経歴と資料の徹底ヒアリング

まずは代表者の職歴を詳しくヒアリング。
過去に勤務していた会社で取締役に就任していた期間(約6年)があることが判明しました。
法的に経営者経験として扱える可能性があることを確認しました。


ステップ2:経営経験の裏付け資料を収集

経営経験を証明するため、以下の資料を収集・整理しました。

  • 当時の登記簿謄本(役職が取締役であることの証明)
  • 取締役在任中に発注・請負した工事契約書・請求書・入金記録
  • 当時の建設業許可証(勤務先会社のもの)
  • 社内組織図・役職名簿・議事録写し(経営業務への関与を補強)

これらを体系的に整理し、「経営業務に関与していた証拠」として申請書に添付しました。


ステップ3:行政庁との事前相談・説明

収集した資料をもとに、事前に行政庁へ相談。
「現場監督が主業務だったが、経営業務にも関与していたことをどのように示すか」という点について、担当官と協議しました。

結果、以下の補足資料を追加提出することで、経営関与が認められる方向に

  • 工事請負契約の決裁フロー図
  • 会議資料(工事受注や資金計画の承認に関与していた記録)
  • 代表者印を使用していた契約の控え

ステップ4:申請・審査・許可取得

補強資料を添えて正式に申請。
審査期間中にも追加の照会がありましたが、迅速に補足資料を提出した結果、建設業許可が無事交付されました。


解決のポイント

  1. 「経営業務の管理責任者がいない」と言われても諦めない
    → 過去の勤務先・役職・契約関与履歴を丁寧に掘り下げることで、証明できるケースがあります。
  2. 形式よりも「実質的に経営関与していた」ことを証明する
    → 名義上だけでなく、決裁・契約・資金管理に携わっていた証拠を積み重ねることが重要。
  3. 行政庁との事前相談を有効活用
    → 提出前に相談して方向性を確認しておくと、補正や再提出のリスクを減らせます。

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