以下の2つのいずれかに該当する場合に宅地建物取引業に該当します。
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換を業として行うこと
(2)売買や交換、貸借をするときの代理や媒介を業として行うこと
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換を業として行うこと
宅地建物取引業者が、自分自身が所有している宅地や建物を、不特定多数の相手に対して、継続的かつ反復的に売却したり、他の不動産と交換したりする行為を指します。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 不動産会社が、自社で開発・建築したマンションや戸建て住宅を一般消費者に販売する。
- 不動産会社が、中古の不動産を買い取り、リフォームやリノベーションを施してから、自己所有の物件として販売する。
- 不動産会社が、所有する土地を区画整理して宅地として分譲する。
この定義の重要な点は、「自ら」と「業として」の2つの要素です。
「自ら」:売主や交換の当事者が、他者の代理人や仲介者としてではなく、自分自身がその不動産の所有者である立場で取引を行うことを意味します。
「業として」:その行為が不特定多数の者を相手に、継続的かつ反復して行われることを指します。
(2)売買や交換、貸借をするときの代理や媒介を業として行うこと
宅地建物取引業者が、他人が所有する宅地や建物の取引(売買、交換、貸借)を成立させるために、その間の橋渡し役や代行役を務め、これを継続的かつ反復的に行うことを指します。
「自ら売買・交換」が不動産会社自身の物件の取引であるのに対し、こちらは他人の物件の取引に関わるのが大きな違いです。
「代理」と「媒介」の違い

代理とは
役割: 宅建業者が、売主(または買主、貸主、借主)の代理人として、その取引について交渉し、最終的な契約まで締結する権限を与えられている状態を指します。
特徴:媒介に比べて数は少ないですが、遠隔地にいるオーナーの物件を売却・賃貸する場合などに用いられることがあります。
依頼主(本人)から「代理権」を与えられます。
代理人は依頼主に代わって意思表示を行い、契約の当事者として振る舞うことができます。
契約の法的効果は直接、依頼主(本人)に帰属します。
例: 賃貸物件のオーナーから「代理」の依頼を受けた不動産会社が、入居者との間で賃貸借契約を締結する。
媒介とは
不動産会社が売主と買主(または貸主と借主)の間に立って、両者の交渉をサポートし、契約が円滑に成立するように「橋渡し役」を果たすことです。
あくまでも契約の当事者は売主と買主であり、不動産会社は直接契約を締結する権限を持っていません。
役割:主に以下の役割を担います。
- 情報提供と物件の紹介: 売主の物件情報を買主に提供したり、買主の希望に合う物件を探して紹介したりします。
- 価格交渉のサポート: 売主と買主の間に入り、売買価格や賃料、引き渡し条件などの交渉を円滑に進めます。
- 契約条件の調整: 契約に関するさまざまな条件(引き渡し日、残代金支払い方法、設備の状況など)を双方の合意形成に向けて調整します。
- 契約書の作成と重要事項説明: 法律に基づいた正確な契約書を作成し、宅地建物取引士が物件に関する重要な事項(物件の概要、法令上の制限、インフラ状況、取引条件など)を説明します。
特徴:宅建業の媒介には、大きく分けて3つの特徴的な契約形態があります。
1.一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる、最も自由度の高い契約です。
- メリット: 多くの不動産会社に販売活動を依頼できるため、より広範囲に情報を届けられる可能性があります。売主自身が買主を見つけて直接契約することもできます(自己発見取引)。
- デメリット: 複数の会社に依頼するため、それぞれの会社からの報告がバラバラになり、状況把握が難しくなることがあります。各社の販売活動が手薄になる可能性もゼロではありません。
2.専任媒介契約
特定の1社にのみ仲介を依頼する契約です。
- メリット: 1社に任せることで、その不動産会社は確実に仲介手数料を得られる可能性が高まるため、より積極的かつきめ細やかな販売活動が期待できます。
- デメリット: 他の不動産会社に重ねて依頼することはできません。
3.専任媒介契約
特定の1社にのみ仲介を依頼し、かつ、売主自身が買主を見つけても、必ず依頼した不動産会社を通して取引しなければならない、最も拘束力の強い契約です。
- メリット: 不動産会社は確実に仲介手数料を得られるため、最も熱心な販売活動や広告宣伝費の投入が期待できます。
- デメリット: 売主の自由度が最も低く、自己発見取引もできません。
例: 売り手が家を売りたい時、宅建業者に「買い手を見つけてください」と依頼します。
宅建業者は、家の情報を買い手に紹介し、価格交渉や引き渡し時期の調整を手伝います。
契約書に最終的にサインするのは、売り手と買い手本人です。不動産会社はあくまでも契約成立をサポートします。